歌詞がしっかりしていればなんでもあり
──ここからは『KAMENICATION!』の収録曲についてお聞きしていこうと思います。まずはTakashiさん作詞作曲の「宇宙旅行」。「カメクエ」のメッセージはハートフル寄りでしたけど、この曲は、ポップさはあるけど内容は辛辣ですね。カメレオの持ち味でもある社会風刺の要素がすごく強くて。
Takashi 曲としては、HIKARU.が「違和感」って言い出す前にもう作っていましたね。歌詞のテーマ的には、立場によって正義と悪が入れ替わることを書いたんですよ。たとえば、戦争映画とかを観ていると、こちら側が正義として話が進んで行くけど、相手の立場に立ってみると、こちら側は悪であって。それだけじゃなくて、今ここにある机も、木の立場で考えたら、こんなのもう最悪じゃないですか。
Takeshi めっちゃ痛いだろうね。
Takashi そう。薪なんかになっちゃった日には燃やされちゃうわけだし。僕らとしては生活をよりよくするためにしていることだとしても、木からしてみればただの惨殺だなと思って。そういうことを小難しく書いてもおもしろくないなと思ったんで、宇宙人っていうSF要素を加えつつ、ポップに伝えたいなと思って書いた曲です。でもまぁ、書いているのは当たり前のことではあるんですけど、誰かとケンカしちゃった時、ふと相手の気持ちになって考えることも大切なことですよね。
──でも、メリハリがありますよね。ポップな雰囲気だったり、SF的な要素がある分、<邪魔なものは海に捨ててしまえばいい 邪魔なものは土に埋めてしまえばいい>といった直球な言葉がより映えるし、かなりトゲがあって刺さるものになっていて。
Takashi そういう言い方に関しては結構考えましたね。音もハードにしたかったんで、それにあうものにしようと思っていました。
──今作は、そういうトゲを結構意識していたのかなと思ったんですけど、ライヴをイメージしていたからそうなったんですかね。
HIKARU. 前に出した激しい曲達のポジションにくるようなものっていうのは考えていましたね。それこそ、より多くの人達と楽しめるようなものというか。
Takashi でも、なかなか難しいですね。より多くの人が聴きやすいものにしたいんだけど、ライヴではハードな曲がほしいし、でもいろんな人に楽しんでもらいたいし……っていう。
Kouichi でもまぁそこは、曲単位でどうこうというよりは、全体的なバランスを大事にした感じですよ。同じような曲がずっと続くよりは、激しい曲もあれば、箸休めになる曲もあったほうがいいから、単純に飽きないアルバムにしたというか。食事で例えるとバイキングのほうが楽しいじゃないですか。おかずが1つしかないよりは、いろいろ選べたほうがいいから。
Takashi うん。そういう幅の広さは保持したいというか、なんならもっと広げていきたいです。だから本当にバイキングですね。いや、ビュッフェだな。そっちのほうがなんかちょっとオシャレだし(笑)。
Takeshi 「宇宙旅行」みたいな激しい曲って、僕らの根っこにあるものが普通に出ているだけだから、そこまで考えて出てきたものでもないと思うんですよ。でも、こういうハードな曲でも、カメレオって歌詞が結構いいんですよね。どんなに激しい曲でも、歌詞を見てもらうと刺さるものがあると思うし、そこがしっかりしていればなんでもありなんじゃないかなって。
HIKARU.らしさが出た「なぞなぞ」
──事実、どの曲にもメッセージがしっかりありますからね。次のHIKARU.さん作詞作曲の「なぞなぞ」は……
Takeshi まったく歌詞に意味がない曲ですね。
HIKARU. バカヤロウ!すげえメッセージ性あるわ!
Takeshi 今のHIKARU.、今年一番の声のデカさだったわ(笑)。
Takashi ていうか、バカヤロウって久し振りに聞いたわ。
Kouichi 俺も。まぁ「ヤロウ」まで言うってことは相当腹が立ったってことなんだろうけど(笑)。
──タイトルの通り、歌詞になぞなぞが出てくるユニークな曲になっていますね。
HIKARU. 『新宿』に入っている「関係ナイ」を超えたいなと思って作っていました。最初に<O2! Curry! SUMMER! DEATH!>っていう歌詞が降りてきてたんですけど、これをハードなサウンドに乗せて叫んだらおもしろいんじゃないかなって。そこから膨らませていったんですけど、パっと見はバカみたいな歌詞でも、最後にはちゃんとメッセージを残したいと思って書いてましたね。
Takeshi どこの部分?
HIKARU. <俺にはあって君にはない>のところ。
Takeshi あそこ意味がよくわかんなかった。
HIKARU. その答えを載せようと思ったけど、敢えて載せなかったんだよ。そのほうがみんな考えてくれるかなと思って。
Takeshi いや、いるよ? 「よくわかんねえからいいや」って言っちゃう、俺みたいな奴。
HIKARU. Daisukeはわかってくれたよ。
Daisuke 俺はHIKARU.と一番付き合いが長いんですけど、昔から歌詞を楽しみにしているんですよ。これが来たときはいいなぁって思いましたね。ちょっとうるっときちゃいました。
──あと、歌詞は韻を踏んでいますね。
HIKARU. お、気づいてもらえました?
Takeshi そうなの?
HIKARU. おい!(笑) 2行目とかマジでよく書けたと思ったんだけど。
Takashi ●●●●●●、バナナ2本分のところ?
HIKARU. そこもいいんだけど、<一年三百六十五日 異次元感覚特殊な夜に>のとこ。ここ、ほぼ全部韻踏んでいるから。
Daisuke ……ほんとだ! でも、言われなかったらわかんなかったかも(苦笑)。
Kouichi なんかこの歌詞はHIKARU.の性格がよく出とるわ。なんか、いろいろ凝って、ひとりでニヤニヤしている感じ。でも、結局それが伝わってないっていう(一同笑)。
なんかマジなアルバムになっちゃうと思って
──曲調もおもしろいですね。ポップな感じはありつつ、音はハードめっていう。
HIKARU. ハードな音をふにゃふにゃした声で歌うっていうのは、それこそ「違和感」として考えていたところですね。
Takeshi 忘れさられていた「違和感」ね。
──Takeshiさんは「なぞなぞ」を聴いた印象ってどうでした?
Takeshi あんま好きじゃなかったです。
Takashi お前さっきからそんな感想ばっかやん。
Takeshi でも、俺が今回の中で一番好きな曲、「宇宙旅行」だから。
Takashi わかっとるわ。やっぱわかっとるわ、こいつ(一同笑)。
Takeshi まぁそこは自分の好き嫌いだけど。俺はカッコよくて激しい曲が好きなんですよ。だから、「なぞなぞ」のイントロはすげえよかったんです。カッコいいな!って。そしたらいきなり<は〜い突然ですが!>ってお前ふざけんなよ!っていう(笑)。でも、この曲はライヴでやったときに、はじめて良さを感じると思うから、まだよくわかんないですね。
Takashi そこまで含めて考えると、僕も一緒ですね。僕もカッコいい感じの曲が好きなんですけど、最初はこの曲を入れる予定じゃなくて、別の曲があったんですよ。その曲もHIKARU.が作っていて、カッコいい感じだったから、僕はそっちのほうが好きだったんですけど。
Takeshi 俺もあっちが好きだった。でも、あの曲を「なぞなぞ」のポジションに入れると、なんかマジなアルバムになっちゃうなと思って。
──マジなアルバムって(笑)。まぁ、マジで作ってはいるけれども……って話ですね。
Takashi そうです。キレイにまとまりすぎちゃう感じになったんですよね。それもどうかと思ったし、「なぞなぞ」はライヴを想像するとやれることがいろいろと多いと思ったんで、入れるべきだなって。
HIKARU. この曲はステージングもこだわりたいんですよ。途中でパっとシーンが変わるところで、Takeshiが急にDJみたいな感じになってもいいと思うし。
Takeshi お、DJタケちゃん? でも、あそこちょっと長いと思ったんだよなぁ……。
Kouichi なんかお前、年とったらうっとうしいおじさんになりそうだな?(一同笑) なんかあったらすぐに文句言う、うっとうしいおじさんに。
Takeshi 散々文句言っているけど、俺、一曲も作ってないしね(笑)。
戦争反対のプラカードを掲げて戦争をしている
──「頭の中の理想の風船」もHIKARU.さんの作詞作曲ですけど、サビのメロディーが独特で、浮遊感があってかなり不思議な曲ですね。
HIKARU. バラードまではいかないミドルテンポの歌ものがほしかったんですよ。ラフな感じでできる歌もの、みたいな。この曲の違和感は「小節数」ですね。7小節にしているので。
Takeshi すごく自然な7小節だよね。最初全然気づかなかった。音楽をやっている人って、4小節とか区切りのいいところを自然と感じるようになってくるんですよ。でも、それと全然あわなかったから、なんでなんだろうなって。これは素晴らしいなと思いました。
Takashi これもHIKARU.の性格が出ていますね。さっきおっしゃっていた「浮遊感」とか。
Takeshi なんていうんだろうね、この感じ。
Takashi なんか、暖かくもなく冷たくもなく、固くもなく柔らかくもないような感じっていうか。
Takeshi そうそう! なんかそういうちょっとマニアックな感じの空気感。俺はそこがあんまり好きじゃない(一同笑)。
Daisuke 今日なんかあったの!? さっきからすごいけど(笑)。
Takashi 俺はHIKARU.のいいところだと思って話していたんだけど(笑)。「なぞなぞ」と真逆だし、僕はこういう曲を作ろうと思っても作れないから、この人おもしろいなって。
Daisuke デモを聴いたときに、やり甲斐のある曲だなって思いました。今までこういうテンポ感の曲をやってこなかったのもあって、結構考えたんですよ。ギター的には目立ちたいんだけど、目立ちすぎるとボーカルの邪魔になるし、メロディーも独特だったから、一個一個を全部書き出して数学的に並べていったりとかして、頭が痛くなるぐらい悩みました。さじ加減が難しかったです。
──歌詞は書きたいものが最初からあったんですか?
HIKARU. ありました。一見すると散漫なんですけど、言っていることは「宇宙旅行」と近くて。自分の理想とか幸せって、他人のそれとは定義が違うじゃないですか。そういう違いってどこにでもあると思うんですよ。学校とか会社とか、もちろんカメレオの中にもあるんですけど。その規模がもっともっと大きくなっていくと、戦争とかそういう話になるのかなって。人が争う根本的な原因って、もしかしたらこういうことなんじゃないかなって思っていた時期があったんですけど。
──そう思ったキッカケとかはあったんですか?
HIKARU. 憲法のことでデモがあったじゃないですか。あの人達って、国会の前で戦争反対のプラカードを掲げて、戦争をしているわけじゃないですか。おや?って思って。国は国で幸せな世界を作りたい。国民は国民で幸せな世界を守りたい。どっちも幸せを求めているんだけど、なんか矛盾していて不思議だなと思って。そういう疑問を歌詞にしてみました。
Takeshi この歌詞はいいと思った。
HIKARU. お、珍しい。
Takeshi 俺、そんなに深いところまで考えない人間なんですよ。だから最初のほうはあんまり意味がわかんなかったんだけど、サビがいいなと思った。<ありのままで それでいいじゃん>っていうところ。俺みたいに難しいことを考えない人も、最後まで歌詞を読んでほしいですね、この曲は。
前向きな歌詞でライヴを締めたいって思うようになった
──最後を締め括る「幸あれっ!」も、「カメクエ」同様、作詞はKouichiさん、作曲はTakashiさんとKouichiさんの共作で。かなりアッパーですね。それこそライヴな感じというか。
Kouichi 今年に入ってアンコールをやらないライヴを試験的にやってみたりしているんですけど、去年までは本編のラストとかによくやる「ニート姫」という曲があって。僕、作ったときからあの曲に若干の違和感があって。そこは好みの問題でもあるんですけど。
──そうでしたね。当時のインタビューでそう話していたのを覚えています。
Kouichi 昔を否定するわけではないんですけど、なぜあの時期にあの歌詞を書いたのかは、自分ではちゃんとわかっているんです。ヴィジュアル系というシーンでやっていくとなると、ああいうちょっとネガティブ気味なことを書いていかなきゃいけないんだと、どこか勝手に思っていたんですね。その当時はそういう精神状態だったけど、今はヴィジュアル系を好きな人も含めて、もっとたくさんの人に言葉から生まれる力を伝えていきたい、バンドとしてもうひとつ上の段階に行きたいと思いはじめてからは、前向きな言葉でライヴを締めくくりたいなって思うようになったんです。ただ、なかなかそういう曲を作れなかったんですよね。でも、いいメロディーが出てきたから、Takashiと一緒に作っていきました。
Takashi 「カメクエ」と同時期に作っていたんですけど、こっちはバンドだけでもできるシンプルでストレートなロックサウンドを目指しました。
Takeshi ギターの音も結構大きいよね。
Takashi そうだね。でも、アレンジしていたら、いつのまにか俺とDaisukeのラップが入ったりして(笑)。あそこはすごく苦労しましたね。
HIKARU. Daisukeの英語の発音がやたらといいんですよ。
Daisuke 歌詞を翻訳してくれた方が、レコーディング現場まで来てくれて発音の指導してくれたんですよ。“ライフッ”(Life)とか。
Takeshi いや、そんな意気込んで発音しても、文字だと全然伝わんねえから(笑)。
HIKARU. 僕も英語は相当苦労しました。“サアゥザン”(thousand)が言えなくて。
Takeshi だから伝わんねえから(笑)。
HIKARU. 40分ぐらいブースに籠っていましたからね。サアゥ、サアゥってずーっと言っていて。レコーディング終わってからもずっと練習しています。
──ヴォーカリストとしては、やっぱり前向きな言葉でライヴを締め括りたいですか?
HIKARU. まあ歌う本人としては、最後に<幸あれっ!>って言って終われるのはいいかなって思いますけど。
まだライヴでやってないからわからないところもあるんですけど、最後にその言葉を届けられたら、きっといい景色になるんじゃないかなと思います。
『KAMENICATION!』は二番煎じ?
──そもそも『KAMENICATION!』っていうタイトルにした理由というと?
HIKARU. 最初は……エスペラントって知っています?
──ごめんなさい。はじめて聞きました。
HIKARU. なんか、そういう世界共通語があるんですよ。英語じゃなくて、エスペラントっていう言語があって。その話をKouichiにされたんですけど。
Kouichi とはいえ、それをタイトルにしたかったわけではないんですよ。音楽としてもバンドとしても、もっともっといろんな人達に届けて行きたいと思っていたから、「すべてが繋がる」みたいな意味の言葉って何かないかなと思って調べていたら、それが出てきて。じゃあ、あとはよろしく!って。
HIKARU. ただ、意味はすごくいいんだけど、響きがあんまりしっくりこなかったから、そういった意味を込めたタイトルにしたいなって考えていたら、コミュニケーションが浮かんできて。
Takeshi よくそれだけで浮かんだよね?
HIKARU. でも3日悩んだ。で、「コミュニケーションは?」ってKouichiにLINEで送ったすぐ後に「KAMENICATION!」が出てきて、こっちで!って。でも、この前「カメニケーション」をググったら、もうすでにあったんですよ。カメと戯れることを「カメニケーション」っていうらしくて。
Takeshi まぁ我々は二番煎じですよ。
HIKARU. 今度のリリースツアー(カメレオ ミニアルバム発売記念プチワンマンツアー「Let's KAMENICATION♪」)は、そういう感じになりますね。受付にカメを置いとくんで。
Takeshi 俺はHIKARU.のそういうところが好きじゃない(全員爆笑)。
HIKARU. はははははははは!(笑)
Kouichi ちょっと欲張っちゃうところね。もうちょっとだけ笑いを取ろうとしてスベっちゃう感じ。
──なんか今回のインタビューはダメ出しがすごかったですけど(苦笑)、リリースツアーもおもしろいことになりそうですね。それこそ新しいセットリストを意識して作った曲達を披露するわけですから。
HIKARU. プチってことは短いんだよね?
カメレオマネージャー 新宿BLAZE以外はだいたい1時間ぐらいです。ライヴの後に撮影会があるので。
HIKARU. じゃあ1時間の内の半分は新曲になるってことか……。
Takeshi またKouichiが頭を抱えてセットリストを考えないと。
Kouichi でも、今回のミニアルバムはいいと思いますよ。今まで出してきた作品の中で一番好きかも。このインタビューを読んでくれた人は、もしかしたら僕達5人だけで作ったように見えるかもしれないけど、今回はディレクターさんとか、アレンジャーさんとか、新しい制作陣の方々が協力してくれているんです。
Takeshi あと、映像チームも新しい人達にお願いしていて。
Kouichi 僕達だけの力でここまでのものは作れなかったと思うし、本当にみなさんのおかげで、いいものになったんじゃないかなと思います。それに、去年47都道府県ワンマンツアーを廻ったからこそ湧き上がってきた感情がストレートに作品へ繋がっているとおもうので、全国のファンのみんなのおかげでもあります。ファンのみんなと繋がって作った「KAMENICATION!」です。感謝です。
(インタビュー:山口哲生)
前編はこちら

2016.4.6 ミニアルバム『KAMENICATION!』

『KAMENICATION!』
【初回生産限定盤】 CD+KMカード
初回36Pブックレット

<CD>
1.SE ~5 Soldier~
2.カメクエ
3.宇宙旅行
4.なぞなぞ
5.頭の中の理想の風船
6.幸あれっ!
<KMカード特典>
「カメクエ」MV&メイキング

DCCSG-007 ¥2,800+税

『KAMENICATION!』
【通常盤】 CDのみ

<CD>
1.SE ~5 Soldier~
2.カメクエ
3.宇宙旅行
4.なぞなぞ
5.頭の中の理想の風船
6.幸あれっ!
7.カメトーク

DCCSG-008 ¥2,300+税
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